韓国で外国人が生活するにはビザは必須ですよね。
韓国に滞在する私の場合、当初は一般研修ビザ(D-4)、次に観光就労ビザ(所謂ワーキングホリデービザ:H-1)、そして結婚移民ビザ(F-6)と何度もビザの変更・更新手続きをしてきました。
ただ、これがなかなか大変というか面倒で…
更新手続きのために毎回書類を揃えたり、仕事の合間をぬって入出国管理事務所に出向いたりが手間に感じまして、永住権を取得しようと動き出しました。
行ったことがある人ならわかると思いますが、入出国管理事務所はできれば行きたくない場所ではないですか?
韓国では制度が変わって「永住権」と言いつつ10年ごとにビザ更新の手続きが必要になりましたが、毎年入出国管理事務所に出向くことを考えると、永住権は取っておきたいと思いました。
永住権を申請する上で2018年9月21日から規定が変わり、KIIP(社会統合プログラム)基本素養条件の書類提出が必須になりましたので、私の体験記も含めてご紹介していきたいと思います。
この記事を読めば、韓国での「社会統合プログラム」の受講から必要な試験についての大まかな流れをご理解いただけます。
社会統合プログラムについて
社会統合プログラムとは英語で「Korea Immigration & integration program」、法務部の社会統合情報網Soci-Netが行っているプログラムです。
韓国に滞在する移民者が韓国生活に適応できるよう、基本的な素養(韓国語や韓国文化に対する理解など)を身に着けるための講義が無料で提供されています。
プログラムを受講する手順は次のとおりです。
事前評価(レベル分けテスト)
まずはレベル分けテストの位置づけである「事前評価」を受ける必要があります。
申し込みはプログラム申請と同時に行います。
✓ 試験料に3万ウォンが必要です。
プログラム過程と履修時間は下記の表をご参考ください。
※2021年4月16日追記※
2021年8月16日~5段階 の教育時間が変更になります。
基本:50時間⇒70時間
深化:20時間⇒30時間
0段階からスタートすると5段階(基本)まで465時間受ける必要があります。
(5段階の深化まで受ける場合は+20時間)
こうして見るとかなりの時間かかりますよね。
TOPIK4級以上を持っている人は、入館管理局に申請すればこの0~4段階は飛ばしていきなり5段階から授業を受けることができます。
私もこの方法をとって50時間だけ受講しました。
※2021年4月16日追記※
2021年8月16日~5段階基本の教育時間が50時間⇒70時間になります。
通常ビザの延長等の手続の際はHi Korea ( HP: https://www.hikorea.go.kr)のサイトで訪問予約が必要ですが、この申請に関しては特に予約は必要なく、外国人登録証とパスポート、TOPIKの成績表をご自分の居住管轄地域の入国管理事務所に持っていけば手続き可能です!
レベルに合った授業を受講する
前述した事前評価もしくは事前申請で決まったレベルの講義を受講します。
教科書は事前にインターネットで注文して準備しておきました。
受講自体は無料ですが、教科書は自腹で用意する必要があります。
講義はしっかりと出欠を取られていて、全体の80%以上出席しないとプログラム修了になりません。
0~4段階は韓国語の講義になります。
各段階の講義が修了するごとに試験があり、合格すると次の段階に進めます。
5段階には「基本」と「深化」の2つがあります。
「基本過程」は永住権用、「深化過程」は帰化用です。
韓国文化、社会、歴史などの講義を受けます。
日本人は永住権を取得される方が多いと思いますが、その場合は基本過程の50時間を受講すればOKです。
※2021年4月16日追記※
2021年8月16日~5段階基本の教育時間が50時間⇒70時間になります。
帰化まで申請したい場合には、基本のプログラム終了後に総合評価を受けて、合格した後に帰化のプログラムを受講して試験に合格する必要があります。
5段階履修後に総合評価を受ける(60点以上で合格)
5段階の講義まで履修が完了したら、総合評価試験を予約して受験します。
詳しくは後述しますが100点満点中60点以上で合格です。
プログラムの申込方法
社会統合情報網 Soci-Net ( HP : https://www.socinet.go.kr )から「社会統合プログラム申請」します。
開講日時、受講場所を選択します。
席数が決まっているので、早めに申請しないと希望の講義の席が埋まってしまうこともあります。
早め早めにチェックしておいてください!
総合評価について
5段階の講義まで受講すれば、いよいよ総合評価試験です!
総合評価を受験する際にも3万ウォンの費用がかかります。
試験内容は、「筆記試験」と「面接試験」でした。
筆記試験(マークシート+小作文)
筆記試験自体はほぼ初級の韓国語の問題で、TOPIKを受けたことがある人は「TOPIKⅠのあの感じ」です。
講義で習った韓国文化については本当に一部しか出てきません。
韓国語中級程度の能力があれば簡単に解けます。
講義中に韓国の国歌も問題に出ると言われて覚えさせられましたが、全く出ませんでした。
(自信がなかったので良かったですが…)
口述(面接)試験
面接試験の内容は、渡された紙に書かれた内容を黙読して、その内容に関して質問される形式でした。紙を見ながら回答してもよかったので、焦らず面接官の質問をきちんと聞いていれば難しくないと思います。
ここからは少々私個人の愚痴になりますが、面接試験の待ち時間がとにかく長くて大変でした。
私が受けた試験会場では、1部屋に50名ほどいた受験生が2人ずつ順番に呼ばれて別室に移動して面接を受けました。
呼ばれる順番は先着順のところもあるようですが、私の時は生年月日順に部屋の中で上からと下からの交互に呼ばれているようでした。
運が悪いことに、私はラストに呼ばれたのでなんと2時間待ち!!
待っている間もスマホは没収されているので、本当に暇で暇でとんでもなく苦痛でした。
社会統合プログラム まとめ
韓国文化を無料で勉強できる機会をいただけるのでありがたいプログラムですが、会社に通いながら休日を返上して講義を受けるのはなかなか大変かと思います。
小さなお子さんがいる方も、どなたかの協力がないと時間をつくるのは難しそうですね。
総合評価試験に関しては、私のように帰化ではなく永住権のみの取得を目指す場合は簡単すぎて拍子抜けするのではないかと思います。
「あの長時間受けた講義は何だったのか」…と。
※おそらく帰化向けの問題はもう少し難しくなると思います。
面接試験に関しては、問題うんぬんよりもとにかく待ち時間が印象的でした。
運の良い人であればすぐに呼ばれてさくっと帰宅できるのですが、私のように2時間も待たされる人もいるので、試験後の予定は余裕をもって入れた方がいいと思います。
今後、韓国で永住権申請を考えている人の参考になったら嬉しいです。